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自分は長いこと京都市に住んでいた。京都は日本一の観光地であると言えるだろう。京都駅前に行くとたくさんの観光客が地図を見ながら何かを調べている。そして、最近は外国人観光客の姿が増えてきた。京都には、たくさんの観光資源がある。京都に住んでいれば、常にここが日本最大の観光地であることを意識してしまう。
2年ほど前に縁あって、自分は岐阜県に引っ越しをした。観光地としての岐阜県など意識したことはなかった。ただ、暮らしやすい、住みやすい地域だなとは感じた。一つ一つの住宅は大きくて庭も広く取ってある。アパートの値段も安い。一方、京都の住宅は三階建て、狭いところに密集して、駐車場のスペースを確保するだけがやっとの面積だ。アパートなどは高い。
京都は有名の観光地は緑が豊富で歴史を感じさせる箇所も多いが、住宅街は狭くて息苦しさを感じてしまう。結論的に言うと、観光地としては魅力があり、訪れるのは楽しくて有益だ。でも、生活するとなると住環境の貧困さが目立つのである。
さて、岐阜県であるが、逆に、観光地としては有名ではないが、生活する環境としては最適である。土地が安い。道路は混まない。道路は広々としている。緑が多い。ただ、移動は自動車が前提になる。バスなどの便は悪い。でも、ここでは、水が美味しい。京都では水道水は飲めなかった。岐阜県では、水道水がけっこう美味しい。
さて、観光地としての岐阜県は、京都と比べると地味ではあるが、その地味さが素晴らしいと感じる人もいるだろう。実は私が、観光地としての岐阜県の魅力に最近ようやく気づき始めたのである。
岐阜県は北は飛騨であり、山国だ。南は美濃であり、水郷だ。飛騨は奥深い山と木材が特徴だ。美濃は3つの川、揖斐川(いびがわ)、長良川、木曽川が流れており、昔からこれらの川のもたらす水を利用して産業が盛んであった。
そして岐阜県の位置、戦略的な位置も大切である。京都に近くて、東国への出発点でもある。当時は、京都を支配すれば、日本全国を支配することに通じる。そのために、斎藤道三や織田信長は稲葉城や岐阜城を自分の根城にしたのである。また、東西の両軍の決戦の場として、関ヶ原の戦いの意義が分かってくる。
京都と比べると、歴史的な観光地は少なくて地味かもしれない。ども、一つ一つの歴史的な事象を見てゆくと、武将たちの野望、庶民達のささやかな楽しみ、商人たちの活動をささえた産業、川を利用した運輸業などが見えてくる。それらをじっくりと味わいながら観光することは楽しいことである。京都では観光地がありすぎて、めまいがする人も出てこよう。
まとめると、岐阜県の観光資源として、飛騨の自然と木材、美濃の水郷、東西の要所にあるので歴史的な意義、これらが岐阜の観光を理解する基本になるのだ。
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